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【サロンメンバーのための谷口日記vol.162】
7月3日
『値段はなにで決まるか』
パリでの仕事で特に好きな仕事は
クーランス城に花を飾ってアンマリーが喜ぶこと。
ホテルレバンに花を飾ってジャンピエールが天才だなぁと褒めてくれること。
メニル通りのレストランコアンシドンスに花を飾りに行ったら
アルボンが喜んで昼間から俺の好きなサンセールをグラスに注いで出してくれること。
そして、もうひとつ。エリックのためのブーケも楽しい仕事だった。
6区でLa tuile a loupという食器屋をしている。フランスのアルチザンの食器ばかりを集めてきた店だ。
エリックはいつもものすごいパッションで美しいものについての知識をたくさん話してくれる。
まぁおれは英語もペラペラ喋る人のは、半分くらい聞き取れないのだけど。
そんな彼は、おれにオーダーするときには、自分の器や、
テーブルコーディネートのプランを見せてくれて、とにかく美しいものを。と言う。
そして、おれはそのときの出来によって値段を決めている。
なにかの映画で、(大いなる遺産だったかな。)アーティストと話をしている金持ちのビジネスマンたちが、
君の作品の値段は、どうやって決まるんだ?と質問し、大きさ?かかった時間?と聞いた。
それを聞いたアーティストとアートを理解してる友人は、
何言ってるのこの人、というような顔で、
美しさだよ。
というようなシーンがあった。(ような気がする。わすれたけど。)
花もそうあるべきだと常に思っていて、
アイロニーも、普段から、原価がいくら掛かったとかじゃなくて
最終的には、そのブーケやアレンジの美しさで価格を決めている。
原価も時間もたくさん掛かってるけど、それは5000円くらいに見えるね。
とか、それは原価はそんなに掛かってないけど、20000円くらいに見えるね。と
フローリストたちとは、その感覚も日々すり合わせをしている。
そして、エリックのための仕事は、仕入れの段階から特別な花を用意して、手間をかけて、最高に美しいものを作る。
そして、おれはその美しさだけに誠実に、値段をつけて請求する。
エリックは一度もそれにケチを付けたことがない。
だから美しさだけを追求できる。
よく日本の若い人が花の仕事を始めるのに
まずパリに行って修行する。という人がいるんだけど、
おれは日本で仕事していくなら、まずは日本のしっかりとしたフローリストで
5年くらい修行して確かな技術を身に着けてから、そのあとパリにいったほうが得るものが大きいよと話すようにしてる。
日本人の料理人がパリで高い評価を得ているように、
日本のフローリストも高い技術をもっていて、根気よく安定して繊細な仕事ができる部分は勝っていると感じる部分は多い。
それでもパリのフローリストが優れていると感じられてしまうことがあるとすれば
オリジナリティのあるものを、お客さんたちがしっかりと評価をしていること
(真似していることを極端に蔑む傾向があるし、フローリストたちもとくに自己主張が強いので真似はしない)と
エリックのような人が、花屋をアーティストとして見てくれて
その創作に対して美しさだけにこだわった仕事のあり方を求めてくれるというようなことが、
パリのほうが圧倒的に多いと感じる。
日本では、もちろんみんなとは言わないけど
安いもの便利なものを求めすぎている自分が、自分自身の身の回りにあるものの
価値を落としていることに気づいていない人が多いと感じる。
もしこれを見ているあなたが自分の奥底から出てくるものを形にしてるのなら、
どうか批判を恐れず自信をもって、その創作に高い価値をつけてほしい。
お金を稼ぐということは卑しいことではない。
価値を生みだせる人だということなのだ。
ータニーチェー
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