ロワール地方でのウェディングの仕事に行ってきました。
今回も外部研修生をオンラインサロンメンバーから募り、
20名ほどの参加者とともに2泊3日での仕事でした。
パリから車で2時間半くらいの別荘地に
広大な土地を持っている貴族ファミリーの
ウェディングでお屋敷の敷地内で行われました。
社員や元スタッフのたくさんいる日本での仕事と違い、
現地スタッフのすくないパリ店での大きな仕事は、
大体いつも日本から研修参加者を募ります。
数名のアイロニスタッフとアイロニ研修生と
外部研修で即席チームをつくって挑みます。
もちろん毎回毎回クライアントも違えば、
場所も違う、メンバーも違って、装花内容も違います。
綺麗なブーケを束ねる能力より、全体をオーガナイズする能力が求められます。
とはいえ、ガチガチに準備をしても、
大体現場で急に変更になるのがこういう花仕事。
準備をばっちりしたからと安心しているスタッフは
泣きを見る羽目になるので、ふだんから柔軟性をもって仕事に挑んでもらいます。
装花箇所、デザインは決まっているのですが、
それをどういうメンバーの割り振りで、どのタイミングで
どの箇所をするかなどは、現場に行くまでは決まらないことも多いです。
案の定、作業場所が変わったり
(日陰のある場所を確保してくるといういい変更)
今回もみんなで晴れを祈りすぎて炎天下だったため、
前日の作業では、設置までは行かずに、当日にすることになりました。
また今回はチャペルの入り口に5メートルの高さの
アーチを作る依頼があり、これも色々手探りでの仕事になりました。
チャペルでの作業時間は、教会の都合で式当日の午前中にという話になっていました。
式当日、おおかた予測はしていたものの、仕事は押してきました。
ギリギリまで、みんな急いで頑張ってくれて、なんとかすべての装花が完成。
テントへのハンギングデコ、テーブルの燭台の下の庭のデコ、
ヘッドドレスやコサージュ、花冠、フォトコールになるアーチ、
それぞれがタイムアップ前の最後のギリギリまで細部にこだわってくれました。
もうそろそろ撤収していかないといけないなという時間で、
俺はディナー会場となるテントに写真を撮りに行き、
みんなにそろそろ俺たちは作業スペースに
もどらないといけないよと伝えに行きました。
ある程度の仕上がりは見ていたので、想像はしていたのですが、
最後の最後での頑張りの細部の修正で、
さらに完成度が上がってすごく綺麗になっていました。
これは、おれのいいところでも悪いところであるのですが、
現場では、次、次、次、とすべきことを考えて、
それをすぐに行動に移すという癖がついているので、
完成度の高さの驚きと喜びを、最後追い上げ頑張ってくれた
スタッフのみんなにちゃんと表現できなかったなと後になって思いました。
きれいにはでき上がったものの、みんなかなり疲れた顔をしていました。
そして、装花は全て完成ですが、
その日のうちに、チャペルの装花を片付けないといけませんでした。
もう少しだからみんな頑張ってねと思いながら、
式が終わっているはずのチャペルに向かうと、
まだ教会の前に人だかりができていました。
ゲストの皆さんが、カクテルとディナーの会場に向かって、
チャペルに誰もいなくなるまで、道を挟んで遠巻きに見ていてください。
と伝えてトラックを停められる場所を探して、みんなと別れました。
少し先に進んだところにトラックが停められたので、
そこからゲストたちはどのくらい減ったかなと思って、
教会の前の人だかりを見てみると、
多くの人が、道を挟んで待機している
黒い服を着た軍団(チームアイロニ)に気づいて、
賞賛の声援や拍手を送ってくれていたのです。
少し離れたところから見ていた俺は、
その両方の人たちを遠くから見ることができたので、
さっきまで疲れていたチームアイロニのみんなの顔が
みるみる明るくなるのが見えた。
それが、今回の装花で一番きれいだなぁと思った瞬間だった。
よく知らない人に、こういう風に仕事していることを、
大事な結婚式なのに、プロじゃない人を参加させて
お遊びでしているのかと言われた時には、
温和なタニグチもついつい反射的にカッとなったしまったことがあるけど、
この形だからこそ、できているんだと自信を持って言えるし、
みんないろんな想いで、いろんな犠牲を払ってきてくれているし、
だからこそ思いっきり楽しんでハードな仕事にとりくんでくれていることを
何度何度も見ているから知っている。
実際、熟練の花屋も参加してくれるし、
そうでない人もいつも予想以上の仕事をしてくれる。
ほんとに今回もいいチームで楽しかったなぁと思い返していたら、
1通のメールが届いた。
ピアからだった。
ピアは、今回のイベントをオーガナイズした新婦のお母さんのいとこで、
昔はこういう仕事をしていたのか、
かのクリスチャン・トルチュとも親交が深く、
ピアの息子のゴッドファーザーにもなっているという。
そんなピアとの仕事はとてもやりやすくて、
俺のクリエイションに敬意をもってくれて、
日陰の作業場をわざわざ手配してくれたり、
ケータリングのチームのリーダーにもきちんと話を通してくれていて、
アイロニチームの作業時間に合わせて仕事をしてくれると、
はじめに挨拶にきてくれたりと、すごくやりやすい現場だった。
そのメールにはこう書いてあった。
わたしはただただあなたたちの仕事に驚いたとだけ言いたかったの。
あなたのアレンジは素晴らしかったし
あなたの日本人のアシスタントたちのバレエのような仕事ぶりは
見ていてもっとも素晴らしいものだったわ。
もし私がまたこの仕事を始める時には間違いなくあなたを呼ぶわ!
と。
普段もそうだけど、おれは、おれが褒められるのは、
そんなに嬉しくなくて、花を褒められるほうがはるかに嬉しいんだけど、
もっと嬉しいのは、スタッフを褒められることです。
(逆に、俺にはすごく良くしてくれるのに、
スタッフに横柄な態度の人には露骨に嫌いアピールをしてしまいます)
フランスに来て、経験できたことで一番素晴らしかったことは、
人々が賞賛の言葉を惜しみなくくれること、と
フローリストとしてクライアントから敬意をもって接してもらえることです。
それが、パリに研修に参加してくれる人にも、一番経験してほしいことなのです。
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