もう1年以上前の話だろうか、縁があって
パリの三つ星レストランのシェフを紹介してもらうということがあった。
その時に嘘みたいな話が出た。
農園を持っていることでも有名なシェフが、
俺の花のために畑の一部を貸してくれるという話だった。
彼の野菜をつくっているファーマーたちが、それを育ててくれ、
おれがそれをつかってブーケを束ねてどこかに飾るというもの。
ちなみに彼のレストランのテーブルには花は飾られていない。
そんな嘘みたいな話は、その後、嘘みたいにまったくなんにも話は進まなくて、
嘘みたいな話は結局嘘みたいな話だった。笑。
それからというか、その前から、実家のある和歌山の田舎の畑で
アイロニ花を育てるということには関心があったし、
自分たちの欲しい花を自分たちで作るということについては、
いつもいろいろ考えていた。
ただ仕入れの引きも強くなって欲しいものが手に入らないことも少なくなっているし、
欲しいと思うものを、じゃあつくってみようかと
いってくれる産地さんとのつながりなんかもあって、
花屋が自分で畑もするというのは、
ライフスタイルとしては素晴らしいかもしれないけど、
アイロニーで厳選して来たような素材の多くは、
知識も技術も情熱もある農家の人たちが自信をもって
出荷しているような奇跡的な高品質もので、
そんなものを作ることができないなら、
自己満足や、本質をともなっていないポーズだけのものになってしまうので、
もう一工夫、根本的なアイデアを盛り込めないなら、
投資してまで手をつけるべきではないと思っていて、
それでも、なにか進めていきたいと考えは断ち切れなくて、
それは最近ではアイロニランドという
抽象的なネーミングでしばしスタッフ間でも語られていた。
そんななか、すっかり忘れていた嘘みたいな話があったシェフからメールが届いた。
美しいものを持っているので、コンポジションを作るために農場に来れる日はあるか?
というものだった。
さてさて、この話はどこに転がっていくのか。
それにしても毎度毎度、ありがたい縁で、
おもしろい話をもらっているけど、
こんなときはいつも不確定で、誰かの決定で、どうなるかわからなくて、
それはそれで、おもしろいのだが、
はやく自分主導で、周りの人がワクワクすること、
幸せになることをたくさん生み出していきたいものだなぁ。
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