パリ快晴の今日の朝。
めずらしく午前中に人とお茶をするアポがあり
メニル通りの店と自宅の往復の日々から飛び出してきました。
アイロニーという花屋の仕事について、
パリ出店について、この仕事を始めたきっかけについて、
などなど取材を受けたりすることもあったので、
なんか答えだけが用意されているようなところがあって、
実際にアイロニー立ち上げたまさにそのときのことって
もうすっかり忘れていたんだけど、記憶がわぁっと蘇ることがあった。
I'llony という造語は、
実は花屋をしようと決意する前からあった言葉なんです。
irony 皮肉という言葉が好きで、それは
真意を逆の言葉で表現すること。
だから書いちゃいけないことを書いたり、
表現に「自由」をもたらしているということを感じていたのと、
周りにいる愛すべき人たちに
皮肉屋というか毒吐きというか、そういう人が多くて、
とくに親父が。
そういう人の毒を聞いているのが逆に居心地がよくて
自分にとって「癒し」の意味があるなぁと思っていたから。
「皮肉」という言葉には「自由」と「癒し」という肯定的な意味を感じていて、
「I'llony」 という造語をただつくっていたんだけど、
それをいつかなにかで使おうというアイデアだった。
それが、ある日そうだ俺花屋になろうと思いついたときに、
その花屋の名前にそれを使おうと思いついた。
そして、ただ I'llony だけだとなんか弱いなぁと思って、
英語でいうgarden of の意味で jardin du をくっつけて
「自由と癒しの庭」という意味にしようと思った。
で、それはもうほんとうに、花屋になろうと思って数日のことで、
開業とかそういうんじゃなくて、まだどんな花屋にしようとか、
花のことも何も考えていないときだった。
その数年前にバイトを探しているときに、
花屋が主人公の映画をみて花屋でバイトをしようとして、
一年ほどバイトしたことがあったが、
その頃はどんな花がいいのかとかも考えたこともなく、
ただ配達に行って人が喜ぶ顔がみたいと思っていただけだった。
そういうわけで、jardin du I'llony という独立したときの屋号が決まった時は
実は、フレンチスタイルの花にも、
実はパリが花の本場だということも知らない時だった。
では、なぜjardin du をつけたのか。
それは、その時たまたま、辻仁成さんの「嫉妬の香り」という本を読んでいたからだ。
その物語には、癒しの庭という言葉出てきて、
I'llony と庭を結びつけてくれて、
登場人物がつけていたゲランの香水ジャルダンバガテールで
ジャルダンという言葉を知った。
店の始めのコンセプトを考えるときに
その小説の世界観に入り込んでいたので、少なからず影響を受けたし、
舞台がパリの小説というわけではなかったけど、
ブローニュの森やバガテル庭園という場所が登場して、
なんとなく頭の片隅にパリがイメージされていた。
そして、色気や香りという今のアイロニーとっての大切な要素は、
このときに強く感じたものだったので、
この嫉妬の香りという小説は、
いわばアイロニーの元ネタのようなものといっても
過言ではないなぁとパリにきてから思い出したことがあった。
それでそれで、
人生というというのは面白いもので、
その17年後、おれはパリで辻仁成さんとカフェをのみながら
これまでのその経緯を話していた。
辻さんが編集長を務める「デザインストーリーズ」という
ウェブマガジンに執筆を依頼してもらい、顔合わせとなったのだが、
パリに店を出すまでの経緯を面白がってくれて、
まずはインタビュー記事になるとのことだ。
いつになるのかは定かではないんだけど、
読めるようになったらまた告知します。
http://www.designstoriesinc.com
ちょいスピ(ちょっとだけスピリチュアル)なおれは、
なんとなくこれはなにか繋がるような気がしているんだよなぁ。。
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