blog du I'llony 世界一好きな花屋といってもらえるように 芦屋と南青山とパリに店を構える花屋アイロニーオーナー谷口敦史のブログ

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2017年4月20日

伝えていくことのむずかしさ


三年目に突入しているアイロニーパリ店。試行錯誤は続いています。

数日前パリ店であまりにも来店する人とのミスマッチなことが続いて、

これまでのやり方はぬるいんじゃないかと思い始めた。

もう完全にプレタポルテのみにしないとダメなんじゃないかなと思った。


日本の店は、芦屋店も青山店もわかりにくいところにあるので、

アイロニーの花をネットなどでみて気に入ってくれた人が来てくれることが多い。

発信をたくさんして、集客しないといけない反面、趣向の違う人がふらりとくる人は少ない。


そういうことがあっても、うちはこういうスタイルなんですよと10年続けてきているので、

理解し気に入ってくれているお客さんが多くいる。

パリではまだまだ認知されていないし、路面店でふらりとこられるお客さんが多いので、

もっと強く打ち出さないといけない。


多くの花屋が、花を選んでオーダーメイドができるのに、うちは組み合わせは選んでもらえない。

おれがわがままなので、綺麗と思わない組み合わせはしたくない。

要望を聞きながら、こちらの提案との間に着地することすら気持ちよくない。

なんだか、とても横柄でわがままで殿様商売みたいな罪悪感があるが、

これをしていかないと未来はないんじゃないかという気がしてならない。

今までもできないことしたくないことを断ることをスタッフに伝えるのは難しかった。

スタッフとしたいことしたくないことを共有することがまずひとつの関門。

スタイルを理解していないスタッフだと、この判断がまったくできない。


それを理解してくれているスタッフも、お客さんの要望をやんわり断るのは難しい。

うちがやりたいことを提案してもらうのだけど、ここをちょっとこうして欲しい。

というお客さんの要望になぜ答えられないかということを、

お客さんに理解してもらうのはさらに難しい。

昨日、おれはそのことをフランス人スタッフのゾーイに話してみた。

いまはゾーイが接客してくれるから。

はじめは、半々にした方がいいと思うといってきた。

ゾーイはすごくよくうちのスタイルを理解してくれていて、

お客さんにうちの花がとても素晴らしいとPRするのも上手い。押しが強い。

日本人と違って手前味噌という感覚はあまりない。

それでも主張の強いお客さんとのやりとりの中で、

中間地点に着地して、なんか違和感があるときもある。

(もちろん、そういうスタイルでお客さんの要望を満たすことを

ミッションとしている花屋を否定するつもりはないし、

社会にはそれが必要だとも思うけどおれが望むものではないということです)

ゾーイもサービス精神を多くもっているほうなので、

できない、したくないということは罪悪感があると思う。

せっかくきてくれた人の反感を買うこと。

しかし長期的に見ればブランド確立のためには、必要なこと。


地域のお客さんの要望に応えないということは、

販路を広げるための別の努力をしないといけないということ、

そういう偉そうなことが言えるだけの花を作り続けないといけないということを、話した。

(しかもおれの英単語で。笑)


嬉しいことに、これがすごく伝わった。と思う。

ゾーイの谷口イングリッシュ聞き取り能力はすごい。

そして、おれがやりたいことへの理解も。

そして、アイロニーのバッチバチの花をつくって売れなかったら、

どこかにもって行ってタダで飾ってもらおうということになった。

ゾーイはすぐにめぼしいホテルやレストランをピックしてくれた。


さて、これによってごくわずかながら伸び始めていた

地域のお客さんへの売り上げが減ってダメになってしまうか、

おれのなりたい花屋に少しでも近づけるか。

もちろん大好物の挑戦のほうを今回も選ぶ。

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Auther

florist jardin du I'llony
creative director
Atsushi Taniguchi

谷口 敦史
1975年3月31日生まれ

芦屋と南青山とパリに店を構える花屋アイロニーのオーナーフローリスト。 独学ながら自然のバランスと花のもつ色気をコンセプトにしたデザインが多くのブランドに認められ店内装花やイベント装花などを手がける。 企業への花をつかった商品企画や広告への花写真の提供など幅広く活動。 自身の撮影による写真集FLOWBULOUS(フラビュラス)は現在ISSUE3まで発刊し累計45000部突破。

多くの人に世界一好きな花屋がある人生の豊かさを感じてもらうことを目標に邁進中

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