blog du I'llony 世界一好きな花屋といってもらえるように 芦屋と南青山とパリに店を構える花屋アイロニーオーナー谷口敦史のブログ

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2017年4月 1日

かわいそうについて。


ブーケを束ねる時にはいつも余分な葉っぱや

花を落とすネトワイエ(掃除)とよばれる作業があります。

ブーケレッスンのときに、このネトワイエを説明するときに、

ときどき、下の方についた花を落とす時があって、

そのときによくきくのが

「かわいそう。。」

という声です。


こういうときおれは

最高に綺麗なブーケにしないほうが罪だ。と思う。

俺たちが扱っている切り花は、下の花を落とす前からすでに

根っこから切り離して、命をもらっている。

花屋に入った瞬間、根っこから切り離された花々を見てかわいそうという人はあまりいない。


花は「活ける」という。

人間の都合で切り取った切り花にも一度命を吹き込む行為なので、

活けるとか生けるというのだろう。

俺自身こういう話を深く考えているわけじゃないんだけど、

かわいそう。という声には、違和感がある。

植物の命の力を借りて、綺麗なものを作り出すことで

また多くの人が、植物の魅力に気づいて、その植物が種を残していくことにつながる。

俺がしていることは昆虫と同じ。

自分の営みのためにある花を犠牲にして、しかしそれが

その花の種を残すことにもつながっている。


例えば、写真のように花首を切り落としてコラージュを作ることがある。

随分昔だったけど、これを見た日本在住のフランス人フローリスト

(地方で活動していてあまり知られていない人)が、花を切ってしまってこれはよくない。

というような意見をくれたことがあった。

日本語ができないみたいだったし、ご存知の通り俺のフランス語も英語もひどいので、

きちんと考えを伝えることはできなかったんだけど、

その人の作品を見て、

その花のほうが、全然活かしてあげられてないんじゃないかなと思った。

ただ、俺は花を活かしていきたいという思いで、この仕事をしているわけじゃないので、

こういうことをよく考えると、

結局、俺は俺のエゴで綺麗だなぁと俺が感じるものをオナニーのごとく作り出しているだけで、

正当化するのはちょっと無理があるなぁと思う。

ただ、オナニー的な行為なんだけど、

フェイスブックやインスタグラムを見ていると、

これによって多くの人たちがちょっと喜んでいるので、

おれはこの行為を近しい人には前戯だと主張している。


いいね!と押されているボタンは

いいっ。。ねっ。。という意味で受け取っている。

そのつもりで、これからも楽しんでいただければと思う42歳なのです。

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Auther

florist jardin du I'llony
creative director
Atsushi Taniguchi

谷口 敦史
1975年3月31日生まれ

芦屋と南青山とパリに店を構える花屋アイロニーのオーナーフローリスト。 独学ながら自然のバランスと花のもつ色気をコンセプトにしたデザインが多くのブランドに認められ店内装花やイベント装花などを手がける。 企業への花をつかった商品企画や広告への花写真の提供など幅広く活動。 自身の撮影による写真集FLOWBULOUS(フラビュラス)は現在ISSUE3まで発刊し累計45000部突破。

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