靴の神様。
西宮のとある住宅街の一角。
注意していないと見落としてしまうほどのさびれたプレハブ小屋。
けれどもその中に足を踏み入れると、そこははまさに異空間。
トコロ狭しと積み上げられた靴靴靴…
“オールソールの神様”と呼ばれるほど、靴底の全張り技術に絶大な支持がある御主人の元には、
日本全国から手当てを必要とする靴たちが毎日送られてくるという。
それにならって僕も、相棒を連れて、助けを求め門を叩いてみた。
学生時代にかなり背伸びをして買ったブーツだが、ここ数年はソールの傷みが激しく、
すっかり出番がなくなっていた。
何度か修理を頼んでみたものの、復活することはなかった。
しかし素材といい、デザインといい、なかなかお目にかかれない逸品。
「あの、ちょっと見てもらいたいモノがあるのですが…」
そう言う僕に対して、“神様”は目を輝かせてブーツを手にとって眺めだした。
そしてふむふむとうなずくと、剥がれかけたソールをいきなり素手でバリッと引き剥がしたっ!
おおっと、乱暴な…
むむっ、でもそこが逆にプロっぽい…
すると…
「これ結構、大事に長いこと履いてくれてるよね?
えっと、この靴はね、接着剤でくっつけるタイプなんですよ。
でもね、このソールは接着剤とはあまり相性がよくなくてね。
同じように接着しても、また剥がれちゃう。
たぶん何度か修理に出して、試みてみたでしょ?
これを治すんだったら全貼り替えで、ヴィブラムソールにすれば、
元の雰囲気を変えずに、うまく接着出来るから大丈夫ですよ。」
と意外と冗舌な、神様。
僕が一番に気に入ったのは、冒頭の「履いてくれてるよね?」の一言。
この人完全に“靴目線”やん。
きっと独りの時には、靴たちとお喋りしてるに違いない。。
それに、嫌味っぽくなく、柔らかい口調でさらっと説明してくれる対応にも感心させられた。
勉強になります。
この人は好きな事を仕事にして、誇りを持ってやっているんだろう。
もちろん二つ返事で神様にお預けして、待つ事2週間。。生まれ変わったブーツと御対面。
ソールの仕上がりはもちろん、頼んでいない表面の革の手入れまで、抜かりないサービス。
ピカピカに磨かれたそれは、新品にも引けを取らない輝きを放っていた。
嗚呼、ありがとう、神様。。。
Shoe factory & Shop 修理屋
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そのゆるさもイイ。